アメリカで近年深刻化している警察の黒人への暴力や殺害に対して活発化しているBlack Lives Matter運動の中で、黒人音楽で成功した白人ラッパーであるマックルモアが彼の葛藤とアメリカに根付く白人の特権について歌った曲
[Verse 1](マックルモアの葛藤)
駐車場に車を駐めて、パーカのジッパーあげてデモに参加
でも考えちまうんだ、「これっておかしいのかな?俺はここにいてもいいのかな?」って
考えちまうんだ、(黒人の)彼らが息ができないなら(白人ラッパーの)俺はどうやって息をすればいいんだ?って、考えちまうんだ、彼らが権利のために声を上げている影で俺はどうやって歌えばいいのか?って
俺は彼らの側に立っていたいよ、だって「俺たち」は自由じゃないから
でもその度にこんなことも考えちまう、(白人の俺と黒人の彼らは)「俺たち」とは呼び合えないんじゃないかって
俺は(白人の立場で)外から中を見てるのか?それとも(黒人の立場で)中から外を見てるのか?
白人の俺が口を出していいのか?それとも隅っこで突っ立って口を塞いでるべきなのか?
「公平なくして平和なし」OK、俺に一つ言わせてくれ
彼らは”Black Lives Matter”を叫んだ。でも俺には言えなかった
白人の俺が言っていいのか?わかんねぇよ、だから俺はただ外から見てるだけだった
だってデモ参加者たちを押さえつけてた警官たちは俺と同じ見た目だったから
ただ俺と違ってあいつらが持ってたのはバッジ、棍棒、催涙ガス、防弾盾、マシンガン
そしてグロック9(警官が使う拳銃)から放たれた弾丸が子供の命を奪うことを正当化できるアリバイ…
[Hook]
ストリートに飛び散る鮮血、公平なくして平和なし
本当の自由を勝ち取るその日まで、本当の安心は得られない
[Interlude 1](マックルモアの心の声)
おい何やってんだよベン(マックルモアの本名)?何考えてんだよお前?ベン、よく考えてみろよ…
(デモの参加者の声)
「お前はここにいるべきじゃねぇよ、だってお前は白人の特権持ってんだから」
「ここに来るんじゃねぇ、黒人の人権なんて大して気にしてねぇだろ」
「”Black Lives Matter”、あぁお前は言うべきじゃなかったな」
「なんでいつも黒人のことに反応するんだ?気にすんなよ。良かったじゃねぇか、ケンドリックに勝ってグラミー貰えてよ」
[Verse 2] (ヒップホップファンの目線)
お前は黒人から音楽と文化を盗んだんだ
魔法を、情熱を、そしてファッションも我が物顔で全部真似しやがって
このヒップホップって文化は絶対にお前らのものにはならない。お前らに絶対にベターなものは生み出せない
お前だってマイリーサイラスと一緒だよ、エルビスプレスリーとイギーアザレアとも同類だろ
お前らみんなフェイクなんだよ、黒人の夢を強奪しやがって
ドラムだろ、それからアクセントも真似して
んでヒップホップを安っぽい売り物に変えやがった
(伝説的なDJ)グランドマスターフラッシュが作り上げたものをぶっ壊しやがった
お前らが売り上げた音楽ってのはクソみたいなポップだ、本物のヒップホップじゃねぇ
広い土地買って、でかい家買って、んででっかいフェンス立てて人々を追い出して
見てみろよ、今じゃお前がそこから出られなくなってるじゃねぇか
いいよ行進に参加しろよ、デモで叫んでみろ
ツイッターでハッシュタグつけて落ち込んでるふりしてみろよ
でもそんなんで人々が信用してくれると思うか?
お前は公の場で「RIPマイクブラウン(丸腰で警官に射殺された黒人少年)」て言ったけど、
人種的平等を叫んだけど、それ本当に意味わかってやってんの?
デモ参加したもイメージアップ狙ってやっただけじゃないの?
黒人に好かれたかっただけじゃないの?
だから今はもう参加してないんだろ、もうイメージアップのためにやるだけやったと
なんなんだよお前、何がしたいんだよ
何考えてんだよ本当に、何考えてんだよお前は
[Interlude 2] (デモ参加者の声)
“Hands Up, Don’t Shoot” 「(手を上げてるよ、撃たないで)Black Lives Matterのデモのスローガン、マイクブラウンがひざまずいて手をあげていたのに警官に射殺されたことから」
[Verse 3] (マックルモアが会った白人の子の保護者の声)
チッわかったよ
最後に一枚写真撮りゃいいんだろ
「でも本当にうちの娘はあなたのファンなの、いつもあなたの曲を歌ってるのよ、”I’m gonna pop some tags”ってね
本当よ、うちの長男はあなたの曲を聴いてリサイクルショップに行ったの(行く必要ない金持ちの家庭なのに)
それとOne Love、あの曲も素晴らしいわ(同性愛を応援した曲”Same Love”と間違えてる)
私の息子の叔母はゲイなんだけど、彼はクラスにそのことを自慢したって言ってたわ
それって素晴らしいことだわ、あなたは凄いわ
私みたいなおばさんでもあなたの曲好きだもの、ポジティブな歌詞が特にね
あなたの曲だけは唯一うちの子供達に聞かせていいヒップホップの曲なの
だって他の曲ってネガティブな歌詞ばっかり、そういうのってクールじゃないでしょ?(声なき声を届けるのが本当のヒップホップ)
(黒人の)銃とかドラッグとかビッチとかサグとか下世話な話ばかりじゃない(それが彼らの日常であることを白人の中産階級は知らない&知ろうとしない)
今でも黒人の権利のためってデモやってるけど、悲しいわよね、考えないのかしら
警官が引きづり回してるって、それあなたのせいじゃない、じゃあ逃げればいいのにね」
[Interlude 3] (人々の声)
「彼らは警官が黒人を差別してるって感じてるって?」
「私は有利だって?白人だから?ははっそんなことないわよ、はははっそんなことはない」
「今の世代は弱っちい奴らばっかだ、すぐ差別だ差別だって大騒ぎしすぎなんだよ」
「Black Lives Matterって聞こえはいいけど、暴動を正当化する言い訳に聞こえるね」
「別に偏見を持っているわけじゃないわよ、ただ・・・」
「私はこの国の99%の警察業務は適正に行われてると思うけどね」
[Verse 4] (マックルモアの総括)
くそっ、無数にある意見、混乱、そして憤り
怖がる人たちがいて、擁護する人たちもいて
でもほとんどのやつらは気にもかけちゃいないんだよな
俺たちが気にしてるのは自分が人種差別主義者って呼ばれないかってことだけ
現実に人種差別のある社会に生きてるってのにさ
沈黙だって一種の意思表示なんだって聞いたことがあるよ。神様は知ってる俺がずっと受け身だったってことを
例えば記事を読んだとして、手記を読んだとして
実際に自分自身を見つめ直して、自分がそれに関わってるってことを知って
自分に(白人の)特権があることを知って、それでも自分から何もしないってのはどうなんだ?もうわかんねぇよ
ヒップホップはいつも政治的だ
だからこの音楽は常に人々と結びついているんじゃないか
ラッパーの俺が黙っててどうすんだよ
黒人の人々が死んでるって現状が今まさにそこにあるのに
なのに俺は自分の身の振り方ばかり考えてさ
あぁそうだよ今の俺なら全部のツアーのチケット売り切ることもできる
ラップ一筋で自分の力でここまでのし上がってきたんだ
でもこれを全部自分のおかげだって思って、俺に声を与えてくれた(ヒップホップ)文化をないがしろにしてしまうんだったら
それって誇れるようなことじゃないよな、まっとうな道じゃない
確かに俺は無から始めたよ、ずっと負け続けたし、何年もずっとインディーズだった
でも俺の成功をアメリカンドリームと呼ぶなら一つ気をつけてほしい
それは俺が夢を追い始めた時に目の前に俺に有利なチャンスがすでにたくさんあったってことだ
俺の肌の色はどこぞのヒーローと同じ色だったし
アメリカって国は白人の音楽だったら安心して聞いてられるって思ってるから
完璧だよ、まさに俺はアメリカって国の理想的なラッパーだったわけだ
んで俺がヒーローだとしたら、誰が悪役になるかはわかるよな(ゲットー育ちの黒人ラッパーたち)
白人優越主義はアイダホの白人の連中(人種差別主義者)たちだけの話じゃねぇぞ
白人優越主義は俺(白人)の特権を守ってるものだ
白人優越主義は土壌、基礎、セメント、そして俺の家の外にかけてあるあの旗(星条旗)そのものなんだ
白人優越主義はこの国の家系に脈々と受け継がれてきたもので、自然と当たり前で見えないものにデザインされてきたんだ
だから俺を成功させてくれたやつらってのは、ダレルウィルソン(丸腰のマイクブラウンを射殺して無罪になった警官)の有罪をもみ消したのと同じやつらなんだよ
俺らは黒人のファッションも歩き方も話し方も踊り方も真似してるのに、でも彼らのために立ち上がってやらないのか
黒人文化の楽しいとこだけいいとこ取りして、彼らの命のためには戦わないのかよ?
[Interlude 4] (人々の声)
「今のBlack Lives Matterは、例えるならばある家一軒が火事になったとして、でも消防士はまずその家に放水せずにそのブロックの家全てに一軒一軒放水しているようなものだ。でも燃えているその家こそが今まさに本当に助けを求めている家で、まずその家の火を消さなければいけないんだ」
「私たちの世代は前の世代から黒人の自由への闘いのトーチを受け取った。と同時にそれは黒人のみならず全ての人間の自由への闘いでもある。どこかで起きている不平等は全ての場所で起こりうる不平等でもあるんから」
「白人たちがまずやらなくてはいけないことは、互いに話し合うこと。このとても難しくて苦痛の伴う話題を親と、家族と話し合うこと」
「私が今の社会で白人たちが考えなければいけないと思う質問は『あなたはどれだけ白人の特権を捨てられる覚悟があるか?そしてどれだけそれを犠牲にしてより公平な社会を作る覚悟があるか?』だ」
[Outro]
お前のその沈黙はおごりだ、ヒップホップはそんな甘いものじゃない
お前のその沈黙はおごりだ、ヒップホップはそんな甘いものじゃない
お前のその沈黙はおごりだ、ヒップホップはそんな甘いものじゃない
お前のその沈黙はおごりだ、ヒップホップはそんな甘いものじゃない
私が持つものは私のためのもの
私たちが生み出したものは私たちを自由にするためのもの
私が持つものは私のためのもの
私たちが生み出したものは私たちを自由にするためのもの
私が持つものは私のためのもの
私たちが生み出したものは私たちを自由にするためのもの
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