2016年4月21日木曜日

J. Cole - "Lost Ones" 和訳

タイトルの意味は「失われたものたち」。曲のテーマは若くして妊娠した未婚のカップル。全編が会話調で展開されていて、1番では彼氏の言い分、2番では彼女の言い分、そして最後にJ. Cole自身の言葉で構成されている。



[Verse 1](彼氏)

ベイビー今お前がどんな風に感じてるかわからないけど

俺がお前を妊娠させちまったんだよな、今まさにお前の中に命が宿ってるんだ

わかるよ、お前はこうなっちまったから俺が結婚してくれるかどうか疑問に思ってんだろ

俺との子供を身ごもったからこれからの人生ずっと一緒に過ごすかって?

口論したいわけじゃないよ、ちょっと話をしたいだけなんだ

別にまた夜を共にしたいわけじゃないんだ、ちょっと混乱しててさ

なぁ俺ずっとすげぇ考えたんだけどさ

正直に言うよ、俺はまだ準備できてないんだ・・・ちょっと待って!最後まで聞いて!

よく考えてみろよベイビー、俺らまだガキなんだぜ

そんなんでどうやって子供を育てられると思う?

仕事はどうする?まだ二十歳にもなってないのに

どこに住むんだ?どこで金を稼ぎゃいいんだよ?

だから俺はこの男の子だか女の子だかをこの世に出すのには反対だね

子供達には満足な生活をさせてあげたいし

俺は他のヤツらみたいに家族を見捨てて出てっちまうようなヤツにはなりたくないから

だからよく考えてくれよこの先どうなるか、どうするのがベストなのかって


[Hook]

こんなことお前に言うなんて全く誇れたことじゃないよな、だから泣いちまうんだ

たまに泣いちまうんだ、そのことを思うと

ガールわかるよ辛いよな、でもこの世界が完璧だったなら

お前の言う通りにできたのにな、いやでもどうだろう

こんなことお前に言うなんて全く誇れたことじゃないよな、だから泣いちまうんだ

たまに泣いちまうんだ、そのことを思うと

ガールわかるよ辛いよな、でもこの世界が完璧だったなら

お前の言う通りできたのにな、いやでもどうだろう


[Verse 2](彼女)

彼女は言った「なんなのよそれ!

赤ちゃん堕ろせって言いにここまで来たわけ?

これは私の身体なの、あんたの思い通りになると思わないで!

あんたの言いたいことわかるわよ

ホントありがちね

『愛してる』って言ったくせに見事に手のひら返し

もうわかった

あんたも他の男たちと一緒だって知っとくべきだったわ

なんにも変わらない、他の男みたいにセックスするまでは愛してるだとか

もっともらしいこと言って

だからナマでやらせてやったのに、このクソ野郎!

んで妊娠したって聞いたらなに?もう関わりたくないって?クソ野郎!

この命をなかったことにしたいって?あんた神様のつもり?クソ野郎!

私はそうじゃないの!新しい命が私のお腹にあるのよ

あんたのお嫁になんかしてくれなくても、この新しい命を私は愛するわ!

あんたの助けなんてなくたって私一人で育ててくから!

だって私のママは男の助けなんてなくたって立派に私を育てあげたんだから!

でもなんであんたがそんなひどいこと言えるかってまだ信じられない

あんた前に私たちが話したこと忘れたの?

あんたの父親のことよ、彼を憎んでるって言ってたわよね!

あいつは弱虫で、あんなヤツと同じ人間じゃなくてよかったって

だって彼はあんたのママがあんたを身ごもってる時に出てった最低なヤツだって

んで今あんた同じことしようとしてんのよ、あんたも最低よ』


[Hook]

こんなことお前に言うなんて全く誇れたことじゃないよな、だから泣いちまうんだ

たまに泣いちまうんだ、そのことを思うと

ボーイ辛いよな、完璧なやつなんていないよ

どうにかしようと思ってもわかんないよな

こんなことお前に言うなんて全く誇れたことじゃないよな、だから泣いちまうんだ

たまに泣いちまうんだ、そのことを思うと

ボーイ辛いよな、完璧なやつなんていないよ

どうにかしようと思ってもわかんないよな


[Verse 3]

全ての出来事には理由がある(reason)

人々は季節のように変わっていく(season)、そして別れていくんだ

彼女はただ彼の誠意が見たかったんだ、愛してると言って欲しかった

あの魔法の言葉を言って欲しかったんだ、体を重ねたあの日に言ってくれたあの言葉を

でも気付いたんだ、彼女は指輪をはめる準備ができてたんだいつだって(if she could)

でも彼が愛してたってのはセックスが良かったからってだけ(pussy good)、彼女は伴侶でもなんでもなかった

わぁ!彼女が言うんだ生理が来ないんだって

そしたらパニックになって(panicking)、固まっちまうんだマネキンみたいに(mannequin)

一つの命が彼女の中で育ってる、そんで聞くんだ「それって本当に俺の子?」って

もしかしたら俺と別れたくないから嘘ついてんじゃないかって

彼女は泣いてるよ、彼の態度があまりにも冷たいから(acting distant)

だってそれを言った途端に突然態度が変わったから(acting different)

男はみんな言うんだ「ビッチどもはそうやって野郎どもをハメるんだ

感情的になって訴えるんだ、あんたの態度を示してよ!」って

妊娠したってことを条件にゆすってくるんだ、金をよこせって

でもさ彼女が本当に妊娠したっつって、お前はただ堕ろせっていうだけなのか

じゃあお前が蒔いた「種」はどうなるんだよ?

お前が蒔いた「種」はどうなるんだ?

お前が蒔いた「種」は


[Outro]

こんなことお前に言うなんて全く誇れたことじゃないよな、だから泣いちまうんだ

たまに泣いちまうんだ、そのことを思うと

こんなことお前に言うなんて全く誇れたことじゃないよな、だから泣いちまうんだ


たまに泣いちまうんだ、そのことを思うと

2016年3月6日日曜日

Kendrick Lamar - "2016 Grammy Performance" 和訳

2016年のグラミー賞授賞式でのパフォーマンス。この年の候補者最多の11部門のノミネートで注目を集めていたケンドリックラマー。それと同時にリハーサルを見た司会のLL Cool Jが「議論を呼ぶだろう」と予告したパフォーマンスにも注目が集まった。LLの言葉通り、刑務所を模したセットで白人の黒人差別を糾弾する曲”The Blacker the Berry”から始まり、警官のマイノリティーへの不条理な暴力、殺害に対して「俺たちは大丈夫だ」と勇気付ける曲”Alright”、そして最後に2012年に自警団を名乗る男に丸腰で射殺された(犯人は不起訴で無罪放免)17歳だった黒人少年Trayvon Martinに捧げるフリースタイルを披露。決して権力を非難するだけで終わらず、こんな不公平な社会だからこそ彼がやらなければいけないこと、差別の被害者がやらなければいけないこと、アメリカという社会に生きる全員が一丸となってやらなければいけないことにも言及。もちろんこのパフォーマンスはこの夜一番のハイライトとなり、音楽界最大の祭典で大きな衝撃を残した。




The Blacker the Berry

[Verse 1]

俺は2015年最悪の偽善者だ

俺は2015年最悪の偽善者だ

この曲を最後まで聞けばこの意味がわかるだろう(*このパフォーマンスでは一番のみの披露だったが、この曲のクライマックスでなぜ彼が偽善者なのかが明かされる)

俺は16歳の頃から知ってるんだ、直感的に気づいた

お前らは俺らのことは決して好きにはならねぇ、友情なんてクソ喰らえ、本気で言ってんだ

俺はアフリカンアメリカンだ、アフリカンだ

月のように黒い(*NYのヒップホップグループBlack Moonより)

今や遺跡となってる小さな村出身だ、どこの家かは知らねぇけど(*アフリカで突然白人によって誘拐されたから)

人類の最底辺からやってきた

髪は縮れてて、アソコはでかくて、鼻は潰れて広がってる

俺のこと嫌いなんだろ?

お前は俺たちを嫌ってんだ、お前らの計画は俺たちの文化を根絶することだったよな

この邪悪なクソ野郎が、お前らがまだ俺のことをを利口なサルのままだと思っててほしいよ

お前らは俺の才能を汚したつもりだろうが、俺のスタイルは奪えねぇ

これは「告白」なんてもんじゃねぇ

つまり俺はボタンを押しちまったんだ、俺の力を思い知ることになるだろう

俺は俺自身の感情を守り抜く、お前も感じるだろ

お前は俺のコミュニティーをめちゃくちゃにして殺し合いをさせてんだ

俺を殺人犯にしようとしてんだ、さぁ「ホンモノ」のニガの解放だ!(*リンカンの「奴隷解放」から)


[Interlurde]

お前が欲しいもんを

お前らにくれてやるよ(*Notorious B.I.G.のサンプリング)

俺の身体を縛っても俺の心までは奪えない(*JAY Zのサンプリング)

みんな、止まれ!!


[Hook]

あいつらは俺を奴隷のように扱う、俺を「クロ」と呼ぶ

俺たちは積み上げられた痛みを感じる、俺らは「クロ」と呼ばれる

そしてあいつは俺を鎖のチェーンの中にねじ込む、俺らを「クロ」と呼ぶ

それが今やでっかい宝石付きの黄金のチェーンだ

かつて鞭(whip)で叩かれた、傷は背中(back)に残っている

でも今や高級車(whip)を専用区画(block)に駐車する

あいつらみんな俺らは絶望から始まるって言いやがる、俺らを「クロ」と呼び

でも覚えときな、すべての人種はブロックからスタートするんだ、忘れるなよ(*陸上のスターティングブロックとかけて。アメリカに来た移民は、白人であってもスタートはみな貧乏で差別される立場だった)


Alright

[Intro]

俺たちは大丈夫だ

俺たちは大丈夫だ

俺たちは大丈夫だ

俺たちは大丈夫だ・・・


[Verse 1]

俺が目覚めた時

お前が賃下げのことで俺を見ていることに気づいた

でも「殺人」がお前を見下ろしているのも見えた

俺のマック11が轟音を立てる

しっかり計画しろ!俺の人生をお前に教えてやるよ

鎮痛剤のみが俺を安心させてくれる

セックスとカネだけが人生のハイライト

ママ、愛してるけどこれが俺のやりたいことなんだ、神は知ってる

シヴォレーに20コ乗っけて、捕まえてみろって言ってやる

因果応報で全て回っていつかはカルマ(代償)がやってくる

天国はあらかじめ俺の曲を聴いててくれたりしない

俺は曲の沈黙(曲の外=実生活)ではクソみたいなギャングスタだ

世界中にもう手遅れだって伝えるんだ

少年少女たちよ、俺はおかしくなっちまうみたいだ

毎日悪行にまみれて

どうか俺の言うことを聞いてくれないか


[Pre-Hook]

知ってるか

俺らはずっと痛めつけられ、押し付けられてきた

プライドは堕とされ

世界を見ながら言うんだ「どこに行けばいいんだ?」って

俺たちは警官が嫌いだ

俺たちを殺して路上で死んでるところを見たいんだ

聖職者の前に立っている

膝は震えてるし、銃をぶっ放しちまうかも

でも俺たちは大丈夫だ


[Hook]

俺たちは大丈夫だ

俺たちは大丈夫だ

俺たちは大丈夫だ

聞こえるか?感じるか?俺たちは大丈夫だ

俺たちは大丈夫だ

俺たちは大丈夫だ

俺たちは大丈夫だ

聞こえるか?感じるか?俺たちは大丈夫だ


[Verse 2]

何が欲しい?家か?自動車か?

40エーカーの土地にロバ?ピアノ?ギター?

何でもござれ、私の名前はルーシー(悪魔ルシファー)、お前の犬(召使)だ

(くそっお前だったらショピングモールにだって住めるってのによ)

俺には悪魔が見える、わかる、これは違法なんだって

何も考えず、また桁を増やしていく

仲間のことを考えて、キャンディーを置いて、ビュイックリーガルのペイントをする

ポケットを探っても、お前(ルシファー)を食わせてくだけの利益は得られない(*いくら散財しても無限の欲は満たせない)

毎日お前をつなぎとめるために金を稼いで

そしてチコの前に行くと・・・痛っ!!(*チコは映画”Friday”の番犬。犬に噛まれる=欲を追って痛い目に逢う)

その話はやめよう、やめとこう、それが毎日なんだ

その話はやめよう、やめとこう、それが毎日なんだ

その話はやめよう、やめとこう、それが毎日なんだ

その話はやめよう、やめとこう、それが毎日なんだ

ペットの犬、ペットの犬、ペットの犬、俺の犬、以上だ

いつでも話してやるさ、逆にお前をハメてやるよ

俺はラップする、黒人だ、みんなわかってんだろ

俺の善も、俺の悪も、ずっと描き続けていく

最後の審判のその時まで


Untitled

もうあれから1週間

どれだけ自分が無力かって感じ始めてる

感情は煮詰まって、あの時もしこうだったらなんて考え始めている

状況は深刻だ、早く解決法を出さなくちゃ

2月26日(トレイヴォンの命日)、俺の魂も死んでしまった

俺は漆黒の夢の中にいるようだ

その録音された叫び声が俺を悪夢へと誘う(*トレイヴォンが射殺される直前の悲鳴を近隣住民は録音していた)

聞こえ方がおかしいというけど、それが誰の声だか知ってたはずだ(*その録音テープは裁判で証拠として認められなかった)

それは彼が血の気が引いた顔で助けを求めた時の俺の叫びだ

なぜ彼は自己防衛しなかった?なぜ彼は殴ることすらできなかったんだ?

俺たちのコミュニティーではこれはどういうことかわかるか?

憎悪の審理を追加するだけだ(*いかなる状況で正当防衛であっても黒人が暴力を使用したら裁判で不利になる)

2012年は世界が見るために録画された

400年前に戻ったことを

これは現代の奴隷制度

俺がお前の家の隣にいる理由

お前がブリーフケースをソファーの上に放り投げて

俺はお前ん家のドアに忍び込んで吹き飛ばすんだ

お前の脳みそをバラバラにして

お前の背骨が腕から滴り落ちるくらいに

俺はエンジンを切ってロールスロイスを停めるんだ

俺は聖書を頼りにする

ウォッカを飲み干して

どうやったら名声を長引かせられるか

どうしたらみんなに知られるようになる?

力を自由に操りたい

どうしたらみんなに気づかせられる?

この力を良い方向に使いたい

日々不安の中で生きている

酒を飲まずにはやってられない

彼の妹に手を上げて

社会ではなんとか生きていこうとする

公平は自由とは違う

だから俺は公平ではない

証言するまで何も言えない、新たな死亡記事を待つのみ

なぜお前たちは見たがる?

心を傷つけられた善人の姿を

はるか昔は俺も教会に行って神と話してた

今自分自身を振り返れば

銃弾しか持っているものがない

酒に溺れてる

ゲットーの果てで

俺がお前の家の隣にいる理由

お前がブリーフケースをソファーの上に放り投げて

俺はお前ん家のドアに忍び込んで吹き飛ばすんだ

お前の脳みそをバラバラにして

お前の背骨が腕から滴り落ちるくらいに

俺はエンジンを切ってロールスロイスを停めるんだ

ハイパワー(heart)だ!おいお前ら見えるか!(*Hiii Powerは2011年のケンドリックの曲から始まった、自信、誇り、尊厳を意味する3本指を立てるムーブメント)

ハイパワー(honor)だ!おいお前ら見えるか!

ハイパワー(respect)だ!おいお前ら見えるか!


この国一丸となっての対話こそが俺らが本当にしなきゃいけないことなんだ!